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本紹介

本紹介#21「クリティカルシンキング 入門編」あなたの思考をガイドする40の原則

こんにちは、nonoです。

本日ご紹介したい本は、E.B.ゼックミスタさんとJ.E.ジョンソンの「クリティカルシンキング 入門編」です。

クリティカルシンキングは、凡人が天才を超えるための唯一のメソッドとも言われます。何故かと、一つには「ウサギと亀」のおとぎ話を思い起こさせます。

どんな天才であっても人間が持つバイアスは多かれ少なかれ避けることができません。天才であるがゆえにもし自分の才能を過信しすぎた場合、このバイアスの罠にハマる可能性がありあます。

一方で、自分は凡人だと謙虚な人は、自分の考えに必ず欠陥があるのではないかと疑い、物事を重層的に考えることができる可能性があります。これにより、バイアスをうちやぶることによって、天才がたどり着けない、大きな成果を達成することができるかもしれないのです。

著者について

著者であるゼックミスタさん、ジョンソン共にシカゴ・ロヨラ大学心理学科教授とのことです。

ゼックミスタさんのご専門は、人間の認知、特に記憶の分野とのこと。シカゴ・ロヨラ大学でも優秀な教師として表彰されているそうです。

ジョンソンさんのご専門は、臨床心理学とのこと。主なテーマが統合失調症、抑うつ、社会不安などの心理的問題やその治療における認知的要因の役割についてとのことです。ジョンソンさんも、シカゴ・ロヨラ大学で優秀な教師として表彰されているそうです。

私が本書を読もうと思った理由

「クリティカルシンキング」というのが、最近の流行りになってきている印象があります。

凡人が天才を出し抜ける可能性があるとすれば、徹底的にクリティカルシンキングを行う必要がる、と言われているのを聞きました。

では、そもそも「クリティカルシンキング」とは何なのか、実はよくわかっていないのです。

「クリティカルシンキング」とは何なのか、本書から学び、実践できるようになりたいと思いました。

クリティカルシンキングとは何か

私は本書を読んで学んだ「クリティカルシンキング」に必要な要素は次の3点です。

 ①問題に対して注意深く観察し、じっくりと考えようとする態度

 ②論理的な探求法や推論の方法に関する知識を持っていること

 ③それらの方法を適用する知識がること

です。

「クリティカル」は日本語に直訳すると「批判的」ということが出てきます。しかし、「批判的」と言ってしまうと、あるテーマに対して否定する意味合いが強くなってしまい、「クリティカルシンキング」の本質をゆがめてしまう恐れがあると思います。

確かに、物事の本質を考えるうえで、ある種の批判的なものの見方をするのですが、決して否定的な意味ではありません。

いわゆるヘーゲルの「弁証法的な思考」に近いと思うのです。「弁証法」とは、ざっくりとした説明で恐縮ですが、一つの主張「テーゼ」に対し、対案「アンチテーゼ」をぶつけて、より良い視点・新しい主張「ジンテーゼ」を見つけようとする思考法です。

この思考法が、クリティカルシンキングの本質と近いと私は考えています。

人間には、無意識のうちに、思い込みがあったり、社会的な圧力によって動かされてしまう側面が必ずあります。以前ご紹介した「影響力の武器」とは、このバイアスや圧力をうまく活用して、相手を思い通りに動かす法則です。

クリティカルシンキングは、この「影響力の武器」を無効化するための、唯一の対抗手段ともいえる技術かもしれません。

「影響力の武器」については、こちらにご紹介させていただきました。ご参考になりましたら幸いです。

人間がハマりやすいバイアスについて

私が本書を読んで、私たちの正確な認識を歪めるバイアスについて、特にこれはというバイアスについて、まとめてみましたのでご参考になれば幸いです。詳しい解説は、ぜひ本書を読んでみてください。

①基本的帰属錯誤

 「共変関係」「時間的順序関係」「もっともらしい他の原因の排除」の3つに気を付ける

②内的要因か外的要因かの判断

 他人の行動は内的原因(人格など)と判断しやすく、自分の行動は外的要因(環境とか状況など、自分でコントロールができないと考えること)に求める傾向が強いこと。なんとなく思い当たる節がありますよね。

③自己高揚バイアスと自己防衛バイアス

 ざっくりいうと、「成功したら自分のおかげ(頑張った、能力があった)、失敗したら周りのせい(他人や環境のせい)」と考えやすい性質。一読すると残念な人に思えるかもしれませんが、これは人間が持っている本質的なバイアスなのですね。自分もそうなっている可能性があると常に疑うことは大切です。

④自己奉仕バイアス

 自分自身を好ましく考えるような方向に認識を歪ませるバイアスです。自分は周りの人よりも優秀であり、無意識に平均以上のパフォーマンスだと考える性質です。しかも厄介なのは、自分が優秀だという根拠や前提条件などなく、そう思い込もうとする性質なのです。自己欺瞞でもあります。

⑤認知的不協和

 思い込みと矛盾する事実や情報を無意識にハイjする、もしくは曲解するバイアスです。

⑥公正世界仮説

 因果応報的な考え方です。ある種の宗教的な思考法です。実際には、世界が公正であるという保証はどこにもありません。それなのに、そのような思想にすがってしまうことが多いことを表しています。

⑦他者への印象管理、自己モニタリング、自己ハンディキャップの自己報告

 ②~③のバイアスとも絡んでいるように思います。自分を良く見せたい、そのためには自分が失敗したのは自分のせいではない、と考えがやすいということです。

⑧ヒューリスティック

 利用可能性ヒューリスティック(日々の習慣や、常識などの社会的慣習など)、代表性ヒューリスティック(専門家や成功者に見える人の意見・主張を無判断に信じるなど)などがあります。

⑨主観的確証

 間違った信念を持っている場合、それを補強するために、すべての事実を歪めて認識するバイアスです。クリティカルにかんがえなければ、歪められた主張はどんどん補強されてしまうそうです。

⑩自己成就的予言

 ナポレオン・ヒルさんの「思考は現実化する」ではないのですが、これもバイアスの一つです。例えば、「今日はパーティだけど、きっとみんな自分と話してくれないだろうな、相手にされないだろうな」と想像していたとしましょう。そうすると、自分の予言が的中するような行動を無意識のうちに取ってしまうバイアスです。

まとめ

バイアスについて良いとか悪いとかいうものではないと、私は考えています。

複雑化している人間社会の中で効率よく生きていくための知恵として、人間はバイアスを身に着けてきたのではないか、と考えているからです。

一方で、そのバイアスが、私たちの認識を歪めるというデメリットもあるということです。

これらのバイアスは、「硬直マインドセット」を持っていることで強化されます。物事を「しなやかにみるマインドセット」を持つようにしましょう。

そのためにも改めて認識したいのは、「クリティカルシンキング」とは自己否定ではないということです。決して自分の内的要素を否定してはいけません。否定してしまうと、余計に受け入れられず、バイアスの罠にはまることになるのです。

自分の認識や行動が、バイアスの影響を受けて歪んでいないか、常に疑ってかかろうということです。そうすることで、自分や周りにとってより良い選択や行動ができる確率が上がります。

前もって自己弁護する理由を作らないこと。失敗こそ成長の種であり、あなたの評価は全く減らない。他人の評価も関係ない。あなたが毎日を誠実に一生懸命行動し、少しずつでも過去より成長すればよいのです。

「クリティカルシンキング」を受け入れるためには、自分を許し受け入れる「成長マインドセット」が欠かせないと強く思います。

以前ご紹介した、キャロル・ドュエックさんの「マインドセット」が、クリティカルシンキングをするためにも、改めてとても参考になるのではないかと思います。

ご参考になれば幸いです。