こんにちは、nonoです。今日私が読んでご紹介したい本は、リチャード・P・ルメトルさんの「良い戦略、悪い戦略」です。
私自身がそうなのですが、「良い戦略」って一体何なのかよくわからないと思いませんか?
自分自身では、戦略をたて、戦略に沿って計画を立てているつもりなのだけれども、なかなか計画通りにうまくいかない。それどころか、自分が立てた計画を実行したところで、自分の戦略が実践できているのか不安になってしまうことがありませんか?
本書には、「良い戦略」とは何かを理解するヒントがたくさん解説されています。本当に「良い戦略」を理解して実践することができれば、自分の人生がより良いものに変えられるのではないか、そんな風に思えてきます。
リチャード・P・ルメトルさんとは?
本書の紹介より引用させて頂きますと、
「戦略論と経営理論の世界的権威」とのことです。エコノミスト誌やマッキンゼー・クォータリー誌などでも、その「戦略の大家」、「スペシャリスト」として評価されているようです。
実際にサミュエル・ゴールドウィン・カンパニーといった小企業から、シェル・インターナショナルといった大企業、NGOまで幅広い組織にコンサルティングも行っているそうです。
「サミュエル・ゴールドウィン・カンパニー」は詳しいことはわかりませんが、米国の映画作成会社のようです。「シェル・インターナショナル」は日本でもおなじみのガソリンスタンド「シェル」の石油化学企業ですね。
文化から化学工業まで、幅広く通用する戦略の考え方、つまり戦略思考の原則と呼べる学べるのではないかと期待できます。
私が本書を読もうと思った理由
私が本書を読もうと思ったのは、次の3つの理由です。
- 色々と自分なりに戦略を考えて勉強や仕事、子育て等やっているつもりなのですが、自分がやっていることが「良い戦略」なのかという実感がわかない。そもそも「良い戦略」が何かわからない。
- 本書を読むことで、「良い戦略」と「悪い戦略」の違いを理解したい。
- 「良い戦略」を理解するだけではなく、具体的に実践したい。
大きくはこの3つの理由がモチベーションとなって、本書を読んでみたいと思いました。
悪い戦略とは、良い戦略の不在ではない。
「良い戦略」にはきちんとした論理構造があり、考え方に「核」があります。その核には、診断・基本方針・行動の3つの要素で構成されます。適切に状況を診断し、基本方針の下で意思統一を図り、一貫した行動を実行するのです。
一方で、「悪い戦略」にも同じように固有の論理があります。単純に良い戦略がない、ということではなく、「悪い戦略」は、組織や個人の選択や行動をより悪くしてしまう戦略なのです。間違った診断をし、組織で統一された基本方針を構築できず、バラバラな行動をしてしまうような戦略となる。書いてみてぞっとする戦略です。
自分の組織を良くしたいはずなのに、どうして「悪い戦略」をとってしまうのでしょう。それは、「悪い戦略」を「良い戦略」だと誤認しているからでしょう。本当に「良い戦略」を知らないために、より悪くなる戦略をとってしまうのです。
「良い戦略」を知らないということは、現状維持すらできず、組織をどんどん悪い方向に向かわせしまう可能性が高いのです。とっても怖いことですね。
「悪い戦略」の特徴4つ
「悪い戦略」をもたらすのは、誤った発想とリーダシップの欠如があるとのことです。
本書では、「悪い戦略」の特徴として以下の4つが示されています。私は、本書を読んで以下の通りに理解しています。
①空疎である
戦略構想を装っているのですが、実は中身がない。美辞麗句で着飾っていたり、必要以上に難しい言葉を使って、高度な内容を見せかけるだけ。
当たり前のことを、難しくさも大そうなことのように表現するのが空疎な戦略の特徴です。
②重大な問題に取り組まない
本当にボトルネックになるような重要な問題は放置して、些末な問題をさも重大かのように装って取り組みます。これは意図的か無意図的か、どちらの場合もあるでしょう。問題の認識が間違っていて、本当に良い戦略が立てられるはずがありません。
③目標を戦略と取り違えている。
「悪い戦略」の多くが、具体的な行動ではなく、単に願望や希望的な観測を語っているだけです。戦略とは、目標を達成するための具体的な道筋になっている必要があるのですが、目標を述べるだけでゴールが達成できるはずがありません。
例えば「企業としては営業利益を10%以上にしないと存続が危ぶまれる。だから営業利益を10%以上にすることが、企業戦略だ」というのがあったとしましょう。営業利益を10%以上にするのはいいのですが、どうやって?というのがありませんね。これでどうやって営業利益10%を達成するのだろう、と思いますね。
④間違った戦略目標を揚げている
これは、先の3つの特徴とも関連しますね。間違った認識で、間違った目標を揚げてしまっては、その組織の本当の課題が解決されずに、効果のない戦略となってしまいます。
また、実現可能性の低い、非現実的な目標も悪い戦略目標です。そもそも努力でどうにもならないことを目標にしていないでしょうか。宝くじに当たるような幸運を前提としていないでしょうか。このような目標は、やはり現実逃避をして、本気で取り組む決意のない目標です。
総じて思うのは、「悪い戦略」とは組織の本当の課題をごまかしたり見て見ぬふりをして、真剣に課題に取り組まないことから起こっているように思われます。
「良い戦略」の3つの要素
「良い戦略」とは、必ず具体的な行動を促します。「良い戦略」には、次の3つの要素が土台となっています。
①診断
まず状況を正しく把握します。そして状況を判断し、取り組むべき課題を見極めるフェーズです。決して本質的な課題を見て見ぬふりはしてはいけません。
よし診断は、複雑に絡み合った状況を明快に解きほぐすことで、死活的な重要な問題点をより分けることになります。
②基本方針
診断で見つかった課題にどう取り組むか、大きな方向性と総合的な方針を決めます。ただし、基本方針は戦略ではありません。この基本方針があることで、多数の選択肢を制限して、より重要な行動を最優先で行うことができます。
③行動
基本方針を実現するための具体的な行動のフェーズです。行動することが最も重要なことであることは言うまでもないことです。もう一つの重要な点は、基本方針について一貫性を持って行動することです。行動がコロコロ変わることがないように、基本方針をしっかり考え抜いておき、決めたら効果を判断するフェーズまで一貫して行動することが重要です。
まとめ
ここまでの内容は、本書の本の序章にすぎません。これらの内容について、具体的な企業の例を使って、丁寧に説明されており、一つの一つの内容をより詳しく理解することができます。
さらに、「良い戦略」を立てるためにの診断・基本方針・行動を、どうやってやっていけばいいのかについても、本書では詳しく解説されています。
それから、ここまでの内容から、以前ご紹介した「エッセンシャル思考」や「シンプルルールズ」の内容と近いものがると感じられないでしょうか。
診断によってボトルネックとなっている課題をあぶりだし、ボトルネックの課題に集中するのは、まさしくエッセンシャル思考だと感じます。
そして、基本方針とは、まさしくシンプルルールになっているのではないでしょうか。
本書は400ページほどの少々分厚い本ですし、少し堅苦しいところがあるので、まず「エッセンシャル思考」と「シンプルルールズ」を読んでおくと、より読みやすくなるかもしれません。
私の拙い言葉で、本書のほんの一部、序章の部分をまとめてみました。私にとっても改めて学びがありました。
もし興味が湧いた方がいらっしゃいましたら、ご参考になれば幸いです。
どうもありがとうございます。