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本紹介

本紹介#31「ブラック職場があなたを殺す」

何のため仕事をするのだろうか

職場や仕事は何のためにあるのだろうか。

資本主義においては、それは利益を上げることと定義されるかもしれない。

しかし、では何のために利益を上げるのだろう。

突き詰めて考えると、それはそこで働く人々や顧客が幸せになるためではないだろうか。

資本主義としては、経営者や資本家が設けるための装置としての会社とみられるのかもしれない。

しかし、利益を出し、継続可能な事業を構築していくためには、人を大切にしなければならない。

SDGsのように持続可能な世界について声高に叫ばれるのにもかかわらず、そこで働く人に対しての優先度は軽視されている。人件費は常にコスト扱いをうけており、利益の阻害要因のような扱いを受けている印象がある。

実際、経営者が人件費をコストの側面としてとらえることが多いのではないだろうか。

テクノロジーの進化によって、人の手が必要なくなてくると余計に人件費はコストとしてしか見られないような印象がある。

しかし、本当に持続可能な社会、組織を作っていくためには、結局のところそこで働く人やかかわる人を大事にしなければならないのである。

不健康な人や失業者ばかりしかいない世界で、誰にものを売るのだろう。どうやって企業はもうけるのだろう。何のためにテクノロジーを使うのだろう。

結局のところ、お金は循環している。そして、人が作り上げる価値によって豊かになっていくのである。

そのことを理解している経営者は少数派であり、どうしても人件費はただのコストだから下げようとするモチベーションの方が高くなっていると思われる。

そのため、安い給与や過度のプレッシャー、解雇になる恐怖、パワハラなどのさまざまなハラスメントなど、人を軽視して目先の利益だけを追求する会社となる可能性がある。

そのような会社で働いてしまうと、ストレスによってあなたは殺されるかもしれない。

どういう職場が、そのようなブラック職場と言われるのかを見ていこう。

経営判断に関係する10種類の職場のストレス要因

  1. 解雇された「レイオフ(一時的過去)も含む」
  2. 無保険である(医療保険がない)
  3. シフト勤務(通常の日中の勤務時間ではなく、深夜・早朝勤務がある)で、かつ一回の勤務時間が長い(通常の8時間ではなく、10~12時間)
  4. 週当たりの勤務時間が長い(例えば、40時間以上である)
  5. 雇用が不安定である(例えば、複数の同僚が解雇された)
  6. 仕事と家庭の両立が困難である
  7. 業務内容や労働環境に関して裁量性が乏しい、仕事に関する自由度や決定権がほとんどない
  8. 仕事の要求が厳しい(例えば、常にせかされる)
  9. 職場で上司や同僚からのサポートが得られない(例えば、ストレスの影響を緩和してくれるような同僚との緊密な人間関係が希薄である)
  10. 業務や雇用に関する判断が不公平・不誠実な職場である

死亡要因ともっとも相関性が高いのは、「乏しい裁量性」

仕事の裁量性に乏しい状況は、心臓疾患や死亡の重大な要因になりうる。

なぜ裁量性を与えられないのか。

それは、上司という立場に立つ人間は、本能的に自分は有能だと思いたい。そのため、自分がアドバイスすることで、ものごとが良くなるのだと感じたいのである。

そうすると、一見、部下に任せたようなふりをしたとしても、自分が優秀だとうぬぼれている上司ほど、口出しをして、そのとおりに動かないとキレるのである。

本人は、部下思い、そしてプロジェクトをうまくいかせるために適切な行動をとれる優秀な人間だと思いたいのである。それは勘違いでしかないのだ。

多かれ少なかれ、人間なのでどうしても自惚れたいという欲求はあるだろう。しかし、問題の多い上司ほど、自惚れが激しいナルシストであり、この傾向が強いように思われる。

より良き職場の特徴

より良き職場の特徴は「裁量権」があることと、社会的サポートがあること。

これが働く場所を選ぶうえで、大切にしなければならない要素である。

働くがいや、やりがい、または給料などが一見重要に見えるかもしれないけれども、幸福度や持続性を考えたときには、これらは本質的なものではないかもしれない。

自分が倒れてしまっては意味がない。病気や精神的な圧力など、立ち直れないほど傷つけられてしまっては取り返しがつかない。

裁量権とは、自分で自分の仕事のやり方を決められること。アウトプットを決められること。上司や顧客にマイクロマネジメントを受けるのは、とんでもなく傷つけられることである。

そしてソーシャルサポートとは、チームメンバの誰かが困ったときに、周りが暖かくサポートしてくれる環境があること。一人一人が、チーム、組織に受け入れられて、大切に扱われる環境にあること。

ソーシャルサポートは、その組織への帰属意識としても、とても重要であり、それがあるだけでも、やりがいを感じることができるものである。

なぜヤバイとわかっている職場をやめられないのか

では、なぜヤバイ職場をやめられないのか。

一つには「経済的な理由」があるだろう。自分はもとより、家族がいたり、住宅ローン、学資ローンなどがあるなど、今の職場を離れることでの経済的なリスクをとることには、かなり勇気がいるかもしれない。

しかし、そのために健康を害し、そもそも働けなくなるようなおおきな危険を冒していては本末転倒であり、合理的な判断ではない。

二つ目は「無気力」である。へとへとで、転職や仕事をやめるためのエネルギーが残っていないのである。変化を起こす気力も残っていないのである。

次に自尊心の問題がある。その職場がいかに理不尽な場合であっても、「辞める」ということは、「失敗者」「落伍者」のように思われたくないというものがある。自分自身に対して失望したくない、という気持ちが働いてもおかしくない。

三つ目は、「異常な状態が当たり前と思ってしまう」ことがある。

同じ環境で働く身近な人々が、同じ条件で激しく働いている場合、何が正しいのかわからなくなる。それは、もっと第三者の意見を聞かなければならない。

四つ目は、「物語に縛られる。高邁な目的・目標に縛られること」である。つまり、やりがい搾取の状況である。

一見美しく、高邁ま目的のために自分を犠牲にしても辞さないような環境でやりがいを搾取されているかもしれない。

しかし、本当に高い目的をもち、かつそれを持続可能なものにしていくためには、犠牲になるという考え方はまちがっている。

そして、経営層が本当に世界を変える、よりよくするという高い意識があるのであれば、そこで働く人々の健康や幸せを犠牲にするようなことはしない。

そんな働き方は持続しないからである。

最後はどんなやめ方になるのか

それでもブラック職場からは最後には仕事をやめなければならなくなるパターンが3つ考えらえる。

1つ目は、「決定的な失望するきっかけがあること」である。

もうこんなところでは働けないという決定的な経験が後押しするパターン

2つ目は、「家族や近しい人、第三者が、退職を妨げている心理的要因を取り除くのを助けてくれる」ことである。

第三者の意見はとても大切。本人は視野が狭くなっていることが多い。そこで、信頼できる人や家族の意見というものが助けてくれることになる

3つ目は、最も最悪なパターンであるが、「心身が本当に深刻な病気や状態となって、物理的に会社に行くことが不可能になってしまう」ことである。

3番目のパターンは、やり直しも聞きにくく、一番避けなければならないパターンである。元気で健康でさえあれば、やり直すことができる。

取返しのつかない状態となるまえに、危険な職場からは辞められるほうがいい。

しかし、おそらく多くの人が、わかっていても3つ目のパターンになるまで、やめる決断ができないということがあるのではないだろうか。

受け入れがたいことを、受け入れるのをやめよう

自分の行動を正当化するのをやめよう。

取返しのつかないことになる前に、違和感を感じているのであれば、自分の心の叫びを押さえつけるのをやめて、しっかりと自分の気持ちに耳を傾けよう。

まず第一に、まともな時間に働き家族や友人といい関係を築いている人と知り合い、できれば友達となっていろいろと話しを聞くとよい。人と会うことが大事。

第二に、自分のプライドにこだわるのをやめよう。人は自分も含めてミスをするものである。ミスを認めて、間違ったと認めたら、それを正せばいい。

第三に、有害な職場で働くことの影響がいかに深刻なものかをしっかり理解しよう。どのように言い訳、正当化しても、ブラック職場はあなたを壊す。

その影響は、職場をやめてからも簡単には消えないのである。

第四に、次の職場を選ぶときは、職場のストレス要員や健康面を重視することである。働くのはお金のためだけではない。お金では、壊れてしまった家庭も人間関係も、損なわれた心身の健康も修復できない。

感想

私自身が、今の職場のあり方に非常に疑問を感じており、危険な職場になっていると感じてとても悩んでいます。

その中で、本書を手にとって読んでみたところ、自分がどのような観点で職場を選ぶべきかということについてのヒントを得られました。

また、今の職場を辞めるか、転職するかについて、なかなか行動ができていない心のうちも、本書で指摘されている通りです。

本書を通して、自分が感じている違和感に目を背けず、勇気をもって行動していかなければならないと思うのです。

取返しがつかなくなる前に、行動をしていきたい。不安で、自信のない自分を受け入れて、それでも行動をしなければならないと思うのです。

本書が、私と同じく、働く場所や環境で悩んでいるひとの参考になれば幸いです。