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本紹介

本紹介#19「投資で一番大切な20の教え」大不況下でも勝ち続ける運用戦略と思考法!

こんにちは、nonoです!

今回ご紹介したい本は、ハワード・マークスさんの「投資で一番大切な20の教え」という本です。

2022年1月20日現在、米国インフレの加速や金利上昇を背景として、これまでコロナショックから金融緩和政策によって急上昇していた株式市場がリセッション(株価下落)へのトレンド変化を起こそうとしています。

常に上がり続ける市場や株というものはなく、すべては循環の中で、グロース株が強い時もあればバリュー株が強い時もある。

米国株が強い時もあれば、日本株が強かった時期もある。はたまた新興国株が強い時期もありました。

そんな変化の中でも投資家として大切な教えが本書には散りばめられています。

ハワード・マークスさんとは?

ハワード・マークスさんとは、米国でも有名な債券投資家です。

「オークツリー・キャピタル・マネジメント会長兼創業者。ロサンゼルスを拠点とするオークツリー・キャピタル・マネジメントは運用資産800億ドル以上を誇る投資会社で、ハイイールド債投資や不良債権への投資を得意とする。ペンシルバニア大学ウォートン校にて金融を学び、シカゴ大学経営大学院にてMBAを取得」(本書背表紙より)。

投資を少しでも始められている方は、おそらく必ず聞いたことがあるウォーレンバフェットさん。世界一の投資家ともいわれるバフェットさんが、本書を「極めて稀に見る、実益のある本」と大絶賛されているそうです。

さらに、バフェットさんは本書を大量購入し、バークシャー・ハサウェイ(バフェットさんの会社)の株主総会で配布したこともあるそうです。(本書、訳者あとがきより)

あのバフェットさんがそれほど絶賛する本。興味が湧いてきませんか?

「リスクがない」と考えることの危険性

私が本書を読んで、一番印象に残っている考え方の一つとして「リスクがない」と考えることのリスクです。

これは禅問答のようでもあり、はたまた「当たり前じゃないか」と思うかもしれません。

しかし、常にこのことを意識していないと、ついつい陥りがちな罠ではないかと私は改めて思いました。

人間の認知には限界があります。偶然性を含めてすべての現象を考慮して判断することは不可能です。それは、物理学などの非常に厳密な学問の世界でさえ、達成することはできていません。いわんや株式市場という、人間の欲望や感情を含むカオスのような世界ではなおさらのことではないでしょうか。

それなのに、2022年現在まで上がり続けるGAFAM銘柄が今後もずっと成長していくのではないかと考えてしまいませんか?今を生きる私たちにとって、会社の規模や時価総額、利益率、自己資本比率などのデータ、および会社のビジョンを見る限り、これらの大企業の死角というのは、現在の視点ではなかなか見えにくくなっています。

ゆえに、GAFAMやグロース株に投資しないのはバカに思えてくるかもしれません。ましてや債券に投資するのは、急成長を続ける株式のリターンから考えると馬鹿らしいと考えてしまうかもしれません。

そこで歴史を振り返ると、ドットコムバブル、リーマンショック、直近でのコロナショックがなぜ起こったのかを考える必要があります。

大暴落の直前というのは、人々が株式市場の未来を非常に楽観的に信じており、欲望のままに投資している状況になります。そこでは、あたかもリスクがないように扱われる、または積極的に無視されることにより、楽観的に信じられるのです。

しかし、ドットコムバブルではそこまで大人気だったITのハイテク株がそれほど良くないという評価にガラッと変わりました。リーマンショックでは、優良株とジャンク債(ゴミ債券)をごちゃまぜにして販売したことで、債券の信用が地に落ちました。特に、米国住宅ローンの巨大な不良債権化が深刻でした。

そして、本書はリーマンショックまでしか経験していませんが、同じようなことはコロナショックでもいえるかと思います。新型コロナウイルスという未知の感染症が、これほど世界経済に打撃を与えると予測できたでしょうか。

もちろん、感染症のリスク自体はずっとあったはずです。しかし、結果的には無視されてきていたから、突然このリスクが顕在化して、市場はびっくりしたのです。

今後も大暴落は、私たちが予測していないこと、はたまた確率が非常に低いから無視しているリスクが顕在化することによって発生すると考えておく必要があります。

逆に、予測されたリスク、想定されたリスクの場合は、それほど大きなショックにはならないと思われます。それは、みんなが回避するためにすでに織り込み済みで行動するからです。

しかし、もう一度大切なことなので繰り返します。「自分ではコントロールできないリスクがあることを常に意識して行動すること」が重要です。

まとめ

私は本書を読むことで、必ず未知のリスクはあるという原則を理解して、利益と損失が非対称であることを理解している人が、優れた投資家であること思いました。

例えば普通の投資家というのは、単純に市場平均に追従するだけです。(実際はそれでもすごいのですが)。市場平均に追従する投資家は、好景気ではプラス、不況ではマイナスになるため±0になってしまいます。

もちろん、米国全体のように、長期的に市場全体が右肩上がりの成長を続けている場合は、市場平均に追従するだけでも十分プラスにはなりますが、それはいったん置いておきます。

本書で言及する優れた投資家は、もっとディフェンシブであり、好景気では市場平均と同じ程度の利益をあげ、不況では市場平均に勝つ(マイナスが少ない)利益を上げられる投資家ということです。

つまり、好景気になかに内在する「リスク」を注意深く察知し、市場よりもリスクを下げることに成功していれば、リスクが顕在化して暴落しても、市場平均よりも下落幅を小さくすることができるのです。それこそ、優れた投資家ということです。

重要なのは、「好景気で市場平均に勝つことではなく、不況時に市場平均に勝つ」ことです。そうすれば、マイナスをより小さく抑えられるため、本当に長期的に勝つことができるのです。

この力強いディフェンシブ力こそ優れた投資家の証と、本書は伝えてくれていると思います。強い優れた投資家となるために、どのような考え方や視点を持つべきかを、20の教えとして学ぶことができるのではないかと思います。

2020年~2021年にかけて、コロナショックから金融緩和政策による大きな株式上昇(株式としては好景気)から、テーパリングおよび利上げ、さらにインフレ上昇によるリセッション局面を迎えつつある今日においても、改めて読むべき本ではないかと思いました。

また、200年以上にわたって右肩上がりの成長を続けてこられた米国株が魅力的であることは否定しません。

それでも、今後50年、100年と本当に米国市場が右肩上がりの成長を続けられる保証はどこにもありません。絶対に右肩上がりを続けると考えて、長期的投資であれば「リスクはない」と考えることは、大きな罠にハマってしまうかもしれません。

米国株投資が大人気になっている昨今の状況においても、やはり本書の考え方を一読して、常に自分で考える投資家となりたいと私は思っています。

もし皆さんのご参考になれば幸いです。