「つらい状況を乗り切る」ための四つのアドバイス
一つ目は、運命の存在を受け入れること。
運命とは、基本的に個人の努力ではどうにもならない。運よく幸福になることもあるし、そうでないこともある。同じ行動が良い目を出すことも、悪い目を出すこともあることを受け入れることである。
だから、自分にできることは、極力毎日を丁寧に生きることを心がけるだけ。それが幸せを保証してくれるわけではないことも受け入れるしかないのである。
だらか、運命のアップダウンをあまり深刻に受け止めすぎない方がいい。状況はそのうちまた変化するのだから。(良くてもうぬぼれないし、悪くても絶望する必要はない。)
二つ目は、あなたが所有しているものは永遠ではないことを理解しておくこと
あなたの健康も、人生のパートナーも、こどもも、友人も、家も、財産も、故郷も、評判も、社会的地位も、すべては時とともに移ろう。
だから、それらを執拗に手に入れようとするのはやめよう。気楽にかまえて、運命がそれらを与えてくれたときには感謝すればいい。
運命が幸運を与えてくれているあいだは、それは脆くはかなく、永遠に続くものではないと常にかんがえておくこと。一番よいのは、それらはあなたに一時的に貸し出されただけのものであって、いつまた取り上げられてもおかしくないのだと思っておくこと。
おそくとも、死ぬときにはすべてをしなってしまうのだから。
三つ目は、すべてを失ったとしても、あなたの人生には良いことの方が多く、良いことにも負の要素はつきものだったことを忘れないこと。
四つ目は、あなたの思考や、思考の道具や、不運や損失や状況の悪化に対する精神的な対処法だけは、誰もあなたから取り上げられないということ。
運命を受け入れるとは
私たちが運命を受け入れるといった場合、運命を偶然性ではなく、システムの機能不全と捉えることがおおい。
つまり、私たちは失業も、飢えも、戦争も、病気も、死さえも、例外的にシステムがうまく機能しなかったせいで起こると捉えがちである。
しかし、実際は、システムが機能していても、理不尽な偶然ということも起こりうるのである。それは、宝くじに当たるようなラッキーもあれば、事故や大災害など、個人ではどうしようもない理不尽な不運も起こりうる。
実際は、それほど極端な幸運も不幸もめったに起こるものではなく、グラデーションがあるものだ。それでも、個人の努力では如何ともできないもの、良いものには悪い要素も含まれているという事実も含めれば、結果としてどちらに転ぶのかは運命に従うしかない。
私たちにできるのは、努力したらうまくいく、とうものではない現実を受け入れつつ、自分ができる最善の努力を行って、運命を受け入れることだけだと常に意識しておくことであると思う。
賢明であるとはどういうことか
「問題解決能力」があることは、大切なことである。
しかし、もっと大切なことは「問題」をいかに避けるか(問題を発生させないか)にある。
つまり、華々しく問題を解決する方が目立つしかっこよく映るのだが、問題が起こらなければそのようなヒーローは必要がない。
とはいえ、「問題」を避けすぎて発展しないこと、挑戦しないことも問題なのではないかという意見もあると思う。
ここで重要なのは「問題」の定義の幅であるのだと思う。つまり、「挑戦しない」「発展しない」ということもリスクであり、将来の問題を起こす要素であるならば、優秀なマネージャは、リスク許容度の範囲内でのちょうど良い「挑戦」と「不確実性」を受け入れて取り込むことができるのである。
これは、将来おこりうるより大きな問題発生を避ける行為であり、やはり「問題」を避ける技術にたけた、賢明な行為であるといえる。
大事なことは、「致命的な問題」を避けること。これができるマネージャは、目立たないがファインプレーであり、優秀でより賢明なマネージャなのである。
一週間のうち、15分でいい。あなたの人生で起こりうる「大きなリスク」について、集中して考える時間をもとう。
もちろん、そうしたところで、すべての問題を回避できるわけではないし、真剣に考えても間違った判断を下すことはある。けれども、そうやって結果的に大きな問題が起きたときにも、あなたが現実を直視して、すぐにその問題に対処すれば被害は小さくて済むのである。
感想まとめ
本書を一回目読んだときに、特に印象に残った部分をまとめました。
本書は、52章にわたって思考方法がまとめられており、一つ一つが参考になります。人によって印象に残る部分が異なることでしょう。
とても興味深い内容ですので、ぜひご一読いただければなと思います。