効率的な時間の使い方を教えてくれるものではない
「限りある時間の使い方」というタイトルから、私の想像として
- 「限られた時間の有効的な使い方」
- 「限られた時間の効率的な使い方」
- 「限られた時間の有意義な使い方」
のようなことを学ぶ本なのかと考えていました。
または、「エッセンシャル思考」のように、「人生の時間は限られているのだらから重要なことを優先して時間を使おう」という内容なのかなと思っていました。
しかし、私の予想は見事に裏切られました。
私が学んだ本書の大きな趣旨は、
「人間は有限な存在です。人生には限りがあり、必ず死が訪れます。
どんなに能力が高くても、どんなに効率的なやり方をしても、すべてのやるべきことを完遂することはできません。
その不愉快な事実(すべてをうまくやることはできないということ)を受けれて、あきらめなさい」
ということです。
「完璧な人生」をあきらめて、今を一生懸命いきよう
「自分が効率的にできれば」、「自分の能力が高ければ」、なんでもうまくできるのではないか、というのは大きな幻想なのです。
この考え方は、「自分が死なない不死身な人間」であると心の底で考えているという指摘があり、私はハッとしました。
私は本書を読んで、以下のように強く考えるようになりました。
「完璧な人生、完璧で安全安心な人生をあきらめよう。そのような人生はそもそも存在しなかったのだ。永遠にかなわない人生のあり方である。
私はどんなに頑張っても不安や恐怖が消えたことはない。常に不安で、未来におびえていた。しかし、それは当然のことだったのである。未来がわかる人間はこの世に存在せず、不確かな未来に向かって進むしかない。
人間は有限な存在なのだから、それでいいのである。
現実を受けいれる。自分の死を受け入れて、今しかできないことに集中して一生懸命に、丁寧に取り組んでいこう。
今を一生懸命、丁寧に取り組んだからといってうまくいく保証はどこにもない。未来に保証はないのであるが、いずれにしてもそれしかできないのだから、今を一生懸命に取り組んで生きていこうと強く思う。
そして、これが一番大切ことだが、今を一生懸命取り組んだあとは、未来に何が起こっても気にしないことである。いいことも、悪いことも、何が起こっても気にしない。
それは、今を一生懸命生きていることで、自分にとって不快なことがおこったとしても、結局はその時に一生懸命考えて、一生懸命その時できる努力をするしかないからである。
私たちには、時間も能力も限界がある。無限の未来でなんでもできるわけではない。
でもそれは、人生をあきらめようといっているのではない。あくまでも、すべてをうまくやろうとすることをあきらめて、一生懸命頑張ってうまくいかないことがあっても、自分は不完全な人間だから、気にしないでそのまま受け入れようということである。」
このように、自分にできること、今に集中して一生懸命に今を取り組んでいけば、あとは何が起こっても気にしないようにしよう、と強く思うようになっています。
とても興味深い本でした。ご興味があればぜひ本書を読んでみてください。